健幸コラム 第七話 【健幸を目指す生き方へ】

解剖学を知り、カラダを知る

正しくカラダを動かすルールを知る

皆さんは解剖学というと何を思い浮かべるでしょうか?ブラックジャック?司法解剖など、メスを入れて、体を切り裂くようなイメージでしょうか?大きく分けて、植物に関する解剖学と、動物に関する解剖学が存在しますが、特に人を扱う解剖学を人体解剖学と呼び、ヒトの体のつくりや形について学ぶ学問のことを指します。

中でも、私が注目しているのは、機能解剖学という分野です。各関節や、筋肉、ひとつひとつの骨がどのように動くのか、人体を解剖しながら理解する学問のことと解釈するといいでしょう。人には、正しく体を動かすルールのようなものがあります。人体の機能解剖学の中でもいくつかのベーシックな内容を知ることは、小さいお子さんから高齢者までの全ての世代で理解し、取り組めるようにしていくべきだと考えています。では、一体どんなことを理解すべきなのでしょうか?

体幹の場所を正しく言えますか?

まずは、体幹についての機能解剖学を理解してみましょう。そもそも体幹と聞いて、皆さんは何を思い浮かべますか?体幹を自分の体のどの部分を表すのかを指し示すことはできますか?少し、お時間を設けますので、考えてみてください。体幹...とはどこか。

正解は、「頭蓋骨と四肢以外のカラダの部位」であり、具体的には脊柱、鎖骨、胸郭、肩甲骨、骨盤を含めた胴体部分を指します。木の幹のように体の幹と書くわけですから、カラダの一番太い部分ですね。内臓を含んでいる体幹部分は上半身と下半身を繋ぐ中心部分でもあり、役割は多く、前述したように、体幹の操作性を高めていくトレーニングをおこなうことは、お子さんから高齢者まで幅広く必要です。体幹が機能しなくなることは、死活問題なのです。例えば、呼吸をするためには、肋骨の周囲筋群による収縮-弛緩が繰り返されます。肋骨の動きが悪い状態は、呼吸が浅くなり、体内に酸素を取り込めないため、集中力の低下などを起こしてしまうわけです。

では、体幹の操作性を高めるためのトレーニングはどのようにおこなうべきなのか?まずは、体幹の周りの筋群を知ってもらいます。体幹の中でも、特に「インナーユニット」と呼ばれている腹部には、横隔膜、多裂筋、腹横筋、骨盤底筋群があります。これらは腹部を上から、前後から、周囲、下から支えている筋肉です。それぞれの筋肉が機能していることが重要であり、どれか1つでも弱すぎ、強すぎてしまうと、バランスが崩れてしまい、体幹の安定性は低くなってしまいます。

出産を経験した女性は、出産を機に骨盤底筋群が弱くなり、脊柱の土台となる骨盤の安定性が下がるため、脊柱周辺の筋肉へ負担がかかり、腰痛や肩こりを誘発するなど、1つの不安定な部位が関連する各部位をも不安定にさせてしまう、負の循環が発生してしまうのです。特に出産時に帝王切開を経験した女性は、腹部の筋肉を切開するため、余計に腹部筋力が下がってしまい、背中への負担が増し長期間にわたっての腰痛が起きてしまうのです。

「腰を回せ」は嘘

読者の皆さんも聞いたことのあるセリフかと思いますが、よく「腰を回せ」とゴルフやテニスなどのスポーツ活動をするときに使う方がいます。実は、この指導言葉は、解剖学的には危ない言葉なのです。背骨は、首の頚椎から胸の胸椎、そして腰の腰椎が重なり合って構成されています。さらにそれぞれが前後に湾曲をしているため、横から見るとS字カーブのようになっています。これは、重い頭蓋骨を支えるために必要な構造になっているのです。

さて、「腰を回せ」についてですが、いわゆる腰という位置を皆さんはどのように捉えていますか??まず、身体をツイストしてみましょう。ポイントは、お尻と、頭を動かさないことです。腰と頭を動かさないで、身体をツイストした時に、皆さんの腰は動いていますか?腰よりも、上の胸全体が動いていませんか?何を伝えたいかというと、ツイスト動作=回す動作が起きているのは、腰ではなくて、胸周りということなのです。

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腰椎の可動範囲は非常に狭くて(腰椎回旋5度)、胸椎の可動範囲が非常に広くなっている(胸椎回旋35度)のです。すなわち、腰を回せという指導をしてしまうと、腰椎の可動範囲を超えて動かそうとしてしまうため、腰痛の原因となってしまう危険性をはらんでいるのです。大事なことは、腰を回すではなくて、胸全体を回すという感覚を養っていくことです。(次号に続く)

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