健幸コラム 第二話 【健幸を目指す生き方へ】
相手の声に耳を傾ける健康支援者であれ
このコラムでは、健康を健幸と表記していますが、私が初めてこの言葉を聞いたのは、筑波大学での授業でした。大学時代に所属していた田中喜代次先生(元筑波大学体育系教授)の測定評価学研究室では、高齢者の転倒予防や、肥満者の減量をメインに研究していました。
田中先生から私が学んだ最も印象的だったことは、国民にとって本質的な健康増進とは何か?を常日頃から考え、研究に向き合うべきという姿勢でした。 「運動していけば健康になる」わけではなく、その人のトータルの人生を鑑みた上で、どのようなことを相手は欲しており、必要としているのかを追求しなければならないのです。相手の声に耳を傾けて、相手の声に応えていく処方ができなければ、本質とはかけ離れた提案をしてしまうわけです。
正直に言いますが、当時(二十歳頃)の私は、田中先生のメッセージを理解ができていなかったし、しっかりと受け止めることすらできていなかったです。現在、私は32歳となり、社会人を経たからか、やっとその田中先生のメッセージがズシッと重く私の胸に刻まれ始めてきました。
バランスのとれた生き方
健康を、健幸とすることを私は次のように解釈しています。
人は、ココロとカラダの両面が健康であることが不可欠であり、さらに人は生きていく限り幸福を追求している動物なのです。かの有名なアリストテレスは幸福な状態を「中庸」と言っています。
ここでは倫理的な議論をするわけではないので、深堀はしませんが、健康な状態で生きていくためには、この「中庸」という考え方は私自身も非常に重要であると思っています。
すなわち、人にとって大切にすべきは、「バランス」です。バランスがとれている状態になるためには、何事も行きすぎてしまってはいけないし、また不足な状態であってもならないわけです。人にとって「バランス」のとれた状態こそが、幸福である状態です。でも、一人ひとりにその「バランス」の比率は異なるため、すべての人類がみな同一のバランスでなければならないという限定的なものでもないわけです。
HealthとHappinessの融合
例えば、趣味をとことん楽しむ人がいた場合、趣味をおこなう生活が幸福であり、仕事と私生活とのバランスが仕事:私生活=5:5になることが最も安定しているかもしれません。しかし、仕事が大好きな人にとってみれば、仕事での成果を出し続けることに幸福を感じるとすると、仕事:私生活=9:1でも幸せかもしれない。 極端な例えではありますが、立場や趣味嗜好、生まれてきた環境、育ってきた環境、人間関係など、多くの要因が絡み合いながらバランスは決まるはずです。
そして、そもそも、仕事と私生活だけに限らず、あらゆる事柄や条件が複合されることが人生であるため、一人ひとりにとっての理想なバランスは異なるはずです。だからこそ、仕事も私生活も両者に充実感が生まれていくハーモニックな生き方が理想的ではないでしょうか。
健幸とは、身体を「表面的なカラダと内面的なココロ」で捉える「Health:健」と、人生を豊かに幸せであり続けたいと追求していく「Happiness:幸」を融合させた考えであると、私は解釈しています。大学時代に田中先生に教えてもらってから、10年以上が経過し、やっと私もこの「健幸」に辿り着きました。
文責 健幸エンターテイメント(株) 代表取締役 守屋俊甫